ウェブ制作を発注して『思ったのと違う』と後悔した担当者が、次回の社内稟議で通した仕様書の書き方
ウェブ制作を発注して「思ったのと違う」と後悔した担当者が、次回の社内稟議で通した仕様書の書き方
「イメージを共有したはずなのに、完成品が全然違った」。ウェブ制作の発注で失敗した担当者が、次回こそ仕様書で食い違いをなくし、社内稟議もスムーズに通すための実践的な書き方を解説します。
この記事の結論
ウェブ制作の発注失敗は、仕様書のあいまいさが原因の9割。「なんとなく」を言語化して合意を取る仕様書を書けば、発注後のトラブルも社内稟議の差し戻しもぐっと減らせます。
– 要点1: 仕様書の核心は「目的・ターゲット・成果指標」の3点セットを最初に書くこと
– 要点2: デザイン・機能・テキストの担当範囲を表形式で明確に分ける
– 要点3: 稟議を通すには「費用対効果の根拠」と「修正ルール」を仕様書に盛り込む
なぜ「思ったのと違う」が起きるのか
ウェブ制作の発注で失敗する最大の理由は、「言わなくてもわかるだろう」という思い込みです。担当者と制作会社の双方に悪意はありません。ただ、言語化されていない期待値が食い違っているだけです。
よくある3つのすれ違いパターン
| すれ違いの種類 | 担当者の頭の中 | 制作会社の解釈 |
|---|---|---|
| デザインイメージ | シンプルでスタイリッシュ | 情報量を減らしたレイアウト |
| 機能の範囲 | 問い合わせフームがあれば十分 | メール通知なし・管理画面なし |
| テキスト(文章) | 制作会社が書いてくれる | 素材は発注者が用意するもの |
この3つは、発注の現場で「特に話していなかった」ために問題になりやすい部分です。
「感覚」を言葉にしないとどうなるか
デザインの好みや世界観は、「おしゃれに」「清潔感があって」では伝わりません。人によって「おしゃれ」の定義は違います。参考サイトのURLを3〜5本共有するだけで、誤解はかなり減ります。
📌 よくある失敗の入口: 参考サイトを共有しても「雰囲気だけ似せてください」と一言しか添えていない場合、配色・フォント・余白感のどれを参考にしたいのかが制作会社には伝わりません。
ウェブ制作の依頼で確認しておくべき基本ポイントは、発注前にチェックすべき8つのポイントを解説した記事でも詳しくまとめています。
上位記事が触れない「本当の原因」:仕様書の3大あいまいポイント
多くの解説記事は「仕様書を書きましょう」と言うだけです。でも実際に何がどうあいまいだと失敗するのか、具体的に整理します。
あいまいポイント① 目的が「かっこいいサイトを作る」になっている
サイトを作ること自体が目的になると、制作会社も評価のしようがありません。「問い合わせを月○件増やす」「採用応募を増やす」など、ビジネス上の目標を最初に書きましょう。
あいまいポイント② 「誰が見るサイトか」を書いていない
ターゲット(どんな人に向けたサイトか)を明示しないと、デザインも文章も制作会社が想像で作ることになります。「40代・中小企業の経営者・静岡県内在住」のように具体的に書くほど、完成品のズレが減ります。
あいまいポイント③ 修正の回数・範囲を決めていない
「何度でも直せる」と思い込んでいる発注者と、「見積もり内の修正は2回まで」と考えている制作会社のすれ違いが、後半の関係悪化につながります。修正条件は契約前に仕様書で合意しておきましょう。
過去に実際どんな失敗が起きているかは、ウェブ制作の失敗事例とよくある5つの後悔に事前チェックリストとともにまとめてあります。合わせて参考にしてください。
稟議を通す仕様書の書き方:7つの必須項目
仕様書は「制作会社への指示書」であると同時に、「社内稟議の根拠資料」でもあります。この2つの役割を兼ねるには、以下の7項目を必ず入れましょう。
必須項目一覧
| # | 項目名 | 書くべき内容 | 稟議で効く理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | 制作目的 | なぜ今作るのか・何を解決するか | 投資の必要性を説明できる |
| 2 | ターゲット | 誰に向けたサイトか・年代・職種など | 方向性の合意を取れる |
| 3 | 成果指標(KPI) | 何が達成されたら成功か(数値) | 効果測定の基準ができる |
| 4 | ページ構成 | 何ページ作るか・各ページの役割 | 見積もりの根拠になる |
| 5 | 機能要件 | フォーム・CMS・予約機能など | 追加費用の発生を防ぐ |
| 6 | 担当範囲の分担 | テキスト・画像・素材の用意は誰か | 作業漏れを防ぐ |
| 7 | スケジュール | 公開日・各工程の締め切り | 稟議のタイムラインを示せる |
### 「成果指標(KPI)」の書き方が稟議の鍵
「サイトをきれいにしたい」では稟議は通りません。「現在の問い合わせ数は月○件。サイト改善によって月○件以上を目指す」のように、現状と目標をセットで書きましょう。
⚠️ 注意: 将来の成果を断定的に書くのは禁物です。「○○が見込まれる」「業界の事例では△△の傾向がある」のように、根拠を添えた表現にしましょう。
デザイン・機能・テキストの担当範囲を表で整理する
担当範囲の分担は、トラブルが一番起きやすい部分です。仕様書に以下のような一覧表を入れるだけで、「それは制作会社の仕事だと思っていた」という言い訳がなくなります。
担当範囲の分担表(記入例)
| 作業内容 | 発注者(自社) | 制作会社 | 備考 |
|---|---|---|---|
| サイト構成の企画 | ✅ 最終決定 | ✅ 提案 | 担当者が確認・承認 |
| デザインカンプ(見本デザイン)制作 | — | ✅ | 参考サイト3本を発注者が提供 |
| トップページのテキスト(文章) | ✅ | — | 発注者が原稿を用意 |
| 下層ページのテキスト | 要相談 | 要相談 | 別途費用が発生する場合あり |
| 写真・画像の用意 | ✅ | — | 素材がない場合は別途費用 |
| フォームの設置・テスト | — | ✅ | 通知メールの設定先も確認 |
| 公開後の更新作業 | ✅ | — | CMSの操作研修を依頼する |
### テキスト(文章)は特に注意が必要
テキストを発注者が用意するのか、制作会社がライティングするのかは、費用と工数に大きく影響します。「なんとなく書いてもらえると思っていた」は最多のトラブル原因のひとつです。必ず契約前に確認しましょう。
制作会社との確認フローとチェックリスト
仕様書を書いたら、制作会社と一緒に確認するフローを作りましょう。「書いて渡して終わり」では意味がありません。
発注前〜公開までの確認フロー
- 仕様書ドラフト作成 → 担当者が社内で作る
- 社内稟議 → 目的・KPI・費用感をセットで提出
- 制作会社への共有 → 仕様書を渡して疑問点をその場で確認
- 見積もりと仕様書の照合 → 項目の抜け・追加費用の確認
- 契約・修正条件の合意 → 修正回数・範囲を書面で確認
- デザイン確認(1回目) → 仕様書の目的・ターゲットと照らし合わせる
- テキスト・機能の確認(最終) → チェックリストを使って漏れなく確認
- 公開前テスト → スマートフォン表示・フォーム動作・表示速度を確認
公開前チェックリスト(発注者用)
- [ ] ターゲットが見たときに「自分向けのサイト」と感じるか
- [ ] 問い合わせボタン・フォームが正しく動くか
- [ ] スマートフォンで崩れていないか
- [ ] テキストに誤字・情報の誤りがないか
- [ ] GoogleアナリティクスやSearch Console(Googleの検索管理ツール)の設定が完了しているか
- [ ] セキュリティ(SSL:アドレスバーに「鍵マーク」が表示される状態)が有効か
サイトを作った後の集客施策については、ウェブマーケティングを始める7ステップの完全ガイドが参考になります。制作と集客をセットで考えるとより効果的です。
制作会社選びの段階からお困りでしたら、まずは状況をお聞かせください。お気軽にお問い合わせください。静岡を拠点に、全国の中小企業の発注サポートをしています。
よくある質問
Q1. ウェブ制作の仕様書とは何ですか?
A. 仕様書とは、制作するウェブサイトの目的・ページ構成・機能・担当範囲・スケジュールをまとめた合意文書のことです。発注者と制作会社の認識を揃えるための「共通のルール書」として機能します。社内稟議の根拠資料にもなります。(約90字)
Q2. 仕様書はどうやって作ればいいですか?
A. まず「なぜ作るか(目的)」「誰に見せるか(ターゲット)」「何が達成されたら成功か(KPI)」の3点を書きます。次にページ構成・機能・担当範囲・スケジュールを追加すれば、基本的な仕様書の完成です。テンプレートを使うとゼロから書くより早く仕上がります。(約120字)
Q3. なぜウェブ制作の発注で「思ったのと違う」が起きるのですか?
A. 「なんとなく」の言葉だけでイメージを伝えようとするからです。「おしゃれに」「シンプルに」は人によって解釈が違います。参考サイトのURL共有と、目的・ターゲット・機能の文書化によって、認識のズレの大半は防げます。(約100字)
Q4. 仕様書と見積書・契約書はどう違いますか?
A. 仕様書は「何を作るか」を定義する文書、見積書は「いくらかかるか」を示す文書、契約書は「どんな条件で仕事をするか」を合意する文書です。3つはセットで機能します。仕様書なしで見積もりを取ると、後から「その機能は見積もり外です」というトラブルが起きやすくなります。(約130字)
Q5. ウェブ制作の仕様書作成にかかる時間・費用の目安は?
A. 社内で作る場合、初めてなら半日〜1日程度が目安です。制作会社にヒアリングと仕様書作成を依頼できる場合もあり、その際は別途費用が発生することがあります(費用は制作会社によって異なります)。時間をかけてでも事前に作っておくと、後の修正費用や手戻り工数を減らせます。(約130字)
まとめ
ウェブ制作の発注で「思ったのと違う」という後悔は、仕様書をきちんと書くことでほぼ防げます。
この記事のポイントを振り返ります
- 失敗の原因は「目的・ターゲット・修正ルール」の言語化不足
- 稟議を通す仕様書には、KPI・担当範囲・スケジュールの7項目が必要
- 制作会社との確認フローを仕様書と合わせて作ると、手戻りが大幅に減る
- テキスト・画像の担当範囲は表形式で明示することがトラブル防止の近道
ウェブ制作の発注は、仕様書という「共通言語」を作るところから始まります。次の発注では、この記事の書き方を参考にした仕様書を一枚用意するだけで、担当者・上司・制作会社の三者が同じ認識で動けるようになります。
「仕様書の書き方をもう少し具体的に相談したい」「どの制作会社が自社に合うか迷っている」という方は、ぜひ一度ご相談ください。サービス詳細を見るから、私たちの支援内容をご確認いただけます。